「出産直後の夫の暴言が許せません」

という身の上相談の読者の悩みに答える脚本家・大石静さんの女性観が興味深い。
家族との位置関係、経済的自立、女性労働力の需要の現実、そんなことをすべて含んだ回答を、日経電子版の「なやみのとびら」欄(4-5)から引用する。

「夫に育児を手伝ってほしいとお願いしたら『お前は自分のことばかり考える』とまさかの言葉でショックでした。いまだにあの言葉が許せず、正直こんな人と老後2人でなんて嫌。でも私の収入では無理」という40代の女性が相談する。大石さんはこれに、夫は夫であなたからの日ごろのねぎらいが足りなかったかもしれないが、たとえそうだったとしても彼の人柄には問題がある、とまず感想を述べる。そこでそういう夫と一つ屋根の下にいてはストレスで病気にさえなってしまうかもしれませんと心配するのだが、ついで、離婚なさったらいかがでしょうか、と意表をついて大胆な提案。

でも別れられない理由は収入がない、自立できないと思い込んでいるからではないでしょうか。しかし、一人で生きていくくらいの収入は得られると思います。企業が採用してくれなくても 家事代行業や、介護の仕事など、人手不足な業種はいろいろあるはずです。 まずは中学生と高校生になったお子さんに、あなたの気持ちをお話になり、味方になってもらって、受けた傷への慰謝料、養育費、婚姻期間中に築いた財産の分与、先のことですが、年金の一部分与など、あらゆることをやって、今の不幸から脱却する道を選ばれた方がいいと、私は思います。

大石さんはプランBも忘れていない。ただ「ひどいわね」と愚痴を聞いてくれる人を求めているだけなら、そういう人はいくらでもいるでしょうから、イヤだイヤだとたくさん口に出して、ストレスを外に発散しながら、結婚生活を続けていくのがいいでしょう。