「働き方改革」の関連銘柄を物色する投資家たち

株式市場で「働き方改革」を切り口とした銘柄漁りが盛り上がっているという。今のところ人材派遣や労務管理サービスなどを手がける企業の株価上昇が目立っているが、働き方改革のすそ野は広い。今後はいっそう銘柄の広がりが予想されると日経新聞(1-12)が伝えている。

 

この1か月で株価上昇が目立ってきたのは人材派遣・請負のクリーク・アンド・リバー社、派遣大手のテンプスタッフ、人事情報の管理システムを販売するアマノなど。いずれもワークライフバランス=残業削減の結果、新たな需要が生まれる人材関連企業ばかりだが、クリーク社などは「人手不足のゲーム関連会社などの引き合いが多くなる」とされ、株価はこの1か月で20%以上も上昇した。しかし、今後は「労働時間短縮」や本年2月から実施されると伝えられる「プレミアムフライデー」(政府が経済団体と検討してきた消費喚起策。月末の金曜日には仕事を切り上げ、夕方から買い物や飲食を楽しんでもらおうという消費拡大、働き方改革を目的とした政策案)などの波及を見込んだ株式の物色が広がるかもしれない。

 

風が吹けば桶屋儲かる式の連想ゲームに見えてくるが、同紙の記事は「長時間労働を是正する機運が社会的に高まっており、企業の働き方改革が進めば関連銘柄への物色は一段と強まる可能性がある」と結んでいる。だが、それはそれとして働き方改革は今のところ大手企業に限った試みにすぎない。経営基盤の弱い中小企業は従業員が土日に休みをとるのも難しい企業すら少なくないわけで、こうした立場からすると現実離れした動きに見えてしまう。企業の規模に片寄らない「働き方改革」がどこまで追求できるのか。それをめざしていかなければ新しい格差が生まれるばかりで、日本人の働き方そのものを変えることにはならないだろう。。