赤ちゃんを心から望んでいる女性に笑顔と幸せを届けたい!
さるぼぼに願いを込めて、熱い思いを持つ女性たち

磁気の力でコリをほぐす「ピップエレキバン」で有名なピップ株式会社は、妊娠中・産後のボディケア商品やベビー用品など、数多くのウエルネス商品を展開しています。
また、コンドームの大手メーカー、不二ラテックス株式会社は、避妊具の普及とあわせ、妊娠検査薬・排卵日予測検査薬を提供しています。
そうしたことから両社は「妊活支援」で協力体制を築き、「さるぼぼ」とのコラボレーションを企画して、2018年に妊娠検査薬(販売名:ウー・マン チェック)を発売。そして2019年にもコラボ第2弾として排卵日予測検査薬(販売名:ウー・マン チェックLH)をリリースしました。
開発に関わった、ピップの大伴美和子さん(商品企画部 商品企画第三課長)、小島里菜さん(販売推進課 係長 広域支社担当)、井上加菜さん(販売推進課 主任 販売企画)小泉千晴さん(商品企画第一課 アシスタント マーチャンダイザー)、と、不二ラテックスの大島彩さん(研究開発部 研究開発課 主任)、鹿野萌さん(研究開発部 研究開発課)さんにお話しを伺いました。

妊活支援

 
さるぼぼと、排卵日予測検査薬「ウー・マン チェック LH」と、妊娠検査薬「ウー・マン チェック」

さるぼぼと、排卵日予測検査薬「ウー・マン チェック LH」と、妊娠検査薬「ウー・マン チェック」

さるぼぼを運ぶコウノトリが「妊活支援」のマーク

さるぼぼを運ぶコウノトリが「妊活支援」のマーク

 

赤ちゃんに恵まれない人を応援したい

妊娠検査薬・排卵日予測検査薬も手掛けるピップと、コンドームの大手メーカーの不二ラテックス。この両社が「妊活支援プロジェクト」でタッグを組んだ。
方や「懐妊」で方や「避妊」。それだけで見ると相反するように思えるが、計画的に妊娠を行う「バースコントロール」の視点で考えれば、両社とも想いは共通する。
「私たちピップは、ひとりでも多くの方に、赤ちゃんの笑顔を届けることをポリシーにウエルネス商品を展開しています。赤ちゃんに恵まれないと苦しんでいる方は多くいます。そんな方々を応援したい、という気持ちで取り組んでいます」と大伴美和子さん(ピップ 商品企画部 商品企画第三課 課長)。
同じく小島里菜さん(ピップ 商品企画部 販売推進課 係長 広域支社担当)も「妊娠を望む人たちへの支援、妊娠活動への取り組みは、社会的にも意義のあることだと考えています」 と語る。
女性の社会進出が進むことで晩婚化し、女性の出産年齢は上昇している。女性の妊娠出産に適した年齢とキャリアを積む時期が重なり、妊娠出産を先送りにしてしまっているのが理由だという。
「私たちもひとりの女性として、ただ商品を開発するだけでなく、妊娠を心から望む方に笑顔と幸せが訪れるように、いつもそばで寄り添いたいと考えています」と小島さんは続ける。


また、「不二ラテックスは、創業者の世界の人口問題を解決したい、という想いから設立されました。バースコントロールという意味では、懐妊も避妊も目的は違っていても趣旨は同じだと考えています。もちろん、コントロールしたくとも思い通りに行くというものではありません。それでもいつ産むのかは大事なことです」と大島彩さん(不二ラテックス 研究開発部 研究開発課 主任) 
同じく鹿野萌さん(不二ラテックス 研究開発部 研究開発課)も「女性が働く上で計画性はとても重要です。女性は何年くらいに子どもが欲しいとか、いろいろと考えています。その想いの役に立ちたいと思っています」という。
語弊があるかもしれないが、望まれる出産のためには、タイミングの良いときに妊娠する必要があるといえるだろう。 

排卵日予測検査薬「ウー・マン チェックLH」

排卵日予測検査薬「ウー・マン チェックLH」

 

女性でプロジェクトチームを結成

ピップと不二ラテックスのコラボは、突然生まれたわけではない。
「元々、ドラックストアなどのコンドーム売り場で、妊娠検査薬・排卵日予測検査薬が一緒に売られる、ということが多かったんです」(大伴さん)
そんなことから、企画に長けているピップと、商品の開発に強い不二ラテックスが一緒になって妊活商品を作れば面白いのではないか? との考えから妊娠検査薬「ウー・マン チェック」が作られることとなった。
この商品の開発のためにピップでは女性プロジェクトチームを結成した。リーダーとなったのが小島さんだ。

「実は、妊娠検査薬はすでに大手の製薬会社などが販売しており、知名度のある商品が市場に多く出回っていました。私たちは後発であるからこそ、赤ちゃんを心から望む方に、今までとは違う伝え方や、見せ方をしないといけないと考えました」(小島さん)
そのため、小島さんはまず、赤ちゃんが欲しいと望む方々にリサーチを行うことにした。すると、子宝に恵まれるお守りなどを身近に置いている人が多いことがわかった。そこから妊娠を希望する女性に寄り添い、心のよりどころとしてそばに置いてもらえるようパッケージにキャラクターを付けたらどうだろう、というアイディアが生まれた。
チームの一員である井上加菜さん(販売推進課 主任 販売企画)は、「私には子どもが2人いますが、最初、赤ちゃんができなくて悩みました。願掛けのキャラクターが側にいるだけで『妊娠できるかも』と希望が持てたのです」と説明する。
チームで女性に人気のキャラクターをリストアップし、ある有名なキャラクターとコラボできないかと上司の企画部長に提案した。部長は版権所有会社と交渉したが、残念ながらOKが出なかった。
「すると、小島が『さるぼぼ』というキャラクターを見つけてきたんです」(井上さん)

左から小泉千晴さん、小島里菜さん、井上加菜さん、大伴美和子さん

左から小泉千晴さん、小島里菜さん、井上加菜さん、大伴美和子さん

さるぼぼの認知度はなんと、79%

「さるぼぼ」とは、飛騨高山など岐阜県飛騨地方で昔から作られている人形。飛騨弁で赤ちゃんのことを「ぼぼ」といい、「さるぼぼ」は「猿の赤ん坊」を意味する。
「『猿』ということから、災いや病が去るとか、『猿』を音読みで『えん』ということから、良縁(えん)や夫婦円(えん)満、安産や子宝の縁起の良いお守りとして受け継がれていました」(小島さん)
チームでは「これがいい!」と大好評。
チームの一員である小泉千晴さん(商品企画第一課 アシスタント マーチャンダイザー)は、「私や、小島らで何度も飛騨に通い、さるぼぼ神社やさるぼぼ製造協同組合の方々からも許可をいただくことができました」と当時を振り返る。

さるぼぼの人形たち

さるぼぼの人形たち

 
しかし最初、承認会議で提案した「さるぼぼ」のプランは却下された。
「会議では『なにこれ?』という厳しい意見が多くありました」(小島さん)
もちろん、それで引き下がる彼女らではなかった。会社が認めないなら認めるデータを集めよう、と行動開始!
13万人以上の人が来場する「マタニティ&ベビーフェスタ」で、妊娠中・出産経験のある女性、656人に「さるぼぼを知っていますか?」と認知度調査を行った。
「すると、79%もの方から『知っている』とお答えをいただきました。この認知度の高さには私たちも驚きました」(小島さん)
webでも調査したところ、73%もの人が「さるぼぼ」を知っていると解った。
「これで我々としては、自信をもって社内会議で発表したところ、承認を得ることができました」(小島さん)
こうして、「さるぼぼ」を運ぶコウノトリというキャラクターが決まり、妊娠検査薬「ウー・マン チェック」が誕生することとなった。
が、しかし──

展示会でさるぼぼをアピール

女性バイヤーが後押したからこそ

「私たちは、さるぼぼというキャラクターがお客様に伝わる、という想いはありましたが、最初は社内の販売促進課の男性メンバーからは、さるぼぼというキャラクターが理解されませんでした」(井上さん)
実は、妊娠検査薬は一度販売していたが、商品の売上は芳しくなかった。その過去があるため、「ただ、キャラクターが付いただけで売れるわけがない」と誰もが考えたのだ。
「『何が違うの?』と何度も言われました。『認知度が79%もあるんですよ』と説明しても、まったく響きませんでした」(井上さん)
そんな危機的状態を救ったのは、ドラックストアの女性スタッフたちだった。
毎年、夏に開催される展示会で妊娠検査薬「ウー・マン チェック」を大々的にアピール。
「ここで自分たちが直接想いを伝えるしかない、と思って、一生懸命にさるぼぼの意味を訴えました」(井上さん)

すると得意先のドラックストアのバイヤーからいくつも注文がきた。
「前の商品はドラックストアの店頭にあまり並ばなかったのに、注文をいただいたドラックストアではたくさん並べてくれました。理由を聞くと、バイヤーさんが女性だったのです」(井上さん)
あるドラックストアでは男性バイヤーは乗り気ではなかったが、女性バイヤーが会議で「これは絶対に販売すべきだ」と後押ししてくれていたと知った。また、妊娠検査薬はコンドーム売り場に陳列されていたが、生理用品売り場に置いてもらえるようお願いをした。その結果、ドラックストアでは大好評となる。
こうして、彼女たちの苦労が報われることとなる。

ピップの商品開発チーム

ピップの商品開発チーム

女性でなければできないことだった

妊娠検査薬「ウー・マン チェック」が好評だったことから第2弾として、排卵日予測検査薬「ウー・マン チェックLH」が開発されることになった。
「妊娠検査薬は赤ちゃんを望んでいない人も使う商品です。しかし、排卵日予測検査薬は、赤ちゃんが欲しいと切実に思っている人が使うもの。妊活には不可欠。ニッチな商品ですが、妊娠を望む人たちへの支援として、欠かすことはできないと思いました」(小島さん)
この商品の開発に取り組んだのが、不二ラテックスの大島さんと鹿野さんだ。
「排卵日予測検査薬そのものは海外で作られたものを輸入し、日本向けに改良すればよいだけなので、製造そのものは容易です。しかし、分類的には第1類医薬品に入るため、国内で販売するにあたっては、国の承認を得なければなりません。まずは、どうすれば承認を取れるか、というところからのスタートでした」(大島さん)
海外で許可が下りている商品であっても、厚生労働省に日本の安全基準に適していることを証明するデータを提出しなければならないのだ。
「もちろん、不二ラテックスは医療品医療機器の会社なので、承認のノウハウは持っています。しかし、排卵日予測検査薬ははじめてに近い商品でした」(大島さん)

しかも、厚生労働省のガイドラインはどのようなデータを揃えればいいのかは具体的ではない。思いつく限りのデータを集めるしかない。
「データを集めるために、とにかく医療機関に相談するのが良いだろうということになり、大学の先輩で企業支援を行っている人に相談し、不妊治療を専門とするクリニックを紹介してもらえることになりました」(大島さん)
排卵日予測検査薬は人の尿で検査をするもの。データを集めるためには、尿を集めなければならない。
「クリニックの方に協力していただけるようになったので、妊娠適齢期の女性のチェックはそちらにお願いできるようになりました。が、それ以外の試験では尿を集めて人工的に排卵日の状態の尿を作り出し、それを使って試験を行わなければなりませんでした」(大島さん)
その人工的に作り出す排卵日状態の尿は、排卵日のときに出るホルモンが入っていない状態の尿でなければならない。そのため、女性社員に協力してもらい、毎日、尿を集めなければならなかった。
「女性に尿を取ってください、とお願いするにしても、その相手の気持ちを考えなければなりません。そこに一番、気を使いました」(大島さん)
実は、最初、排卵日予測検査薬の開発メンバーは男性チームだった。しかし、男性では女性社員に協力はお願いしづらい。そこで大島さんに白羽の矢が当たった。

 
右から鹿野萌さんと大島彩さん

右から鹿野萌さんと大島彩さん

研究の裏には苦労がある

大変だったのは、尿を集めることだけではない。
大島さんと一緒に開発にあたった鹿野さんは、「実際の尿を扱うので、もう臭いが・・・」と顔をしかめる。
「実験室に尿を大量に集めるので、臭いが充満していました。そもそも尿を置いておくことで衛生面はどうなのかとか、悩みは絶えませんでした」(鹿野さん)
完成したときには「もう、この仕事から解放される」と安堵したとのこと。とはいえ、苦しかっただけでない。一番嬉しかったことは、なんと──。
「試験をしているときに、自分自身が妊娠したことです!」(大島さん)
さるぼぼの御利益が、大島さんに訪れたのだろうか。
「私は承認が取れたときが、やはり一番、嬉しかったです。『これで商品ができる』と安心しました」(鹿野さん)
承認申請では悪戦苦闘し、ようやく承認が取れた。その感動はひとしおだったという。

 
不二ラテックスの開発チーム

不二ラテックスの開発チーム

もっと大きな輪を広げて行きたい

こうして、排卵日予測検査薬「ウー・マン チェック LH」が販売された。こちらも好評で現在は品薄の状態(2019年4月)。思った以上の反響に驚くとともに、量産体制に取り組んでいるとのこと。

最後に、「ウー・マン チェック LH」に関わった人たちに今後の展開などを聞いた。
「私が子どもを産むころは、こういう情報はあまりオープンになっていませんでした。このような商品が手軽に使えることは羨ましくも思います。でも、まだ認知に乏しい状態です。今後、広めていきたいと考えています」大伴美和子さん(ピップ株式会社 商品企画部 商品企画第三課 課長)
「今は商品企画を離れ、販売促進に携わっていますが、今後はネットで販売するなど、商品を多くの人に知っていただき、たくさんの方に活用していただければと思っています」小島里菜さん(ピップ株式会社 販売推進課 係長 広域支社担当)
「もっと、店頭に並んでもらえるようにしたいですね。『さるぼぼが付いている商品を使ったら妊娠できたよ』と広まって、みんなが幸せな気持ちになって欲しいですね」井上加菜さん(ピップ株式会社 販売推進課 主任 販売企画)
「今後も、妊活支援プロジェクトを続け、さるぼぼとのコラボ商品を企画中です。さるぼぼと一緒に幸せを広げて行きたいと考えています」小泉千晴さん(ピップ株式会社 商品企画第一課 アシスタント マーチャンダイザー)
「妊娠出産は大声で言うのは恥ずかしい、という意識があると思います。こういう商品を通じて自分のことを知る、ということを若い人たちにやって欲しいですね。若いうちからの意識付けが大切だと思います」大島彩さん(不二ラテックス株式会社 研究開発部 研究開発課 主任)
「私たちは今までコンドームをメインとしてきましたが、妊活商品も手掛けるようになり、いろんなお客様に寄り添えるメーカーになったことは、とても嬉しいことです」鹿野萌さん(不二ラテックス株式会社 研究開発部 研究開発課)

 
もともと、ピップは男性中心の企業であったが、最近は女性社員が増え、新入社員の女性比率は半数に及ぶという。実際、チームの女性は出産、育児休暇を3回取得後、復職。その女性は「残業もなく、有給休暇を取りやすい会社です」とにっこり。女性の意見を商品開発に取り入れ、活かす。そして、それを見守り、支える上司。女性活躍の理想的なモデルといえるだろう。ピップにおける女性のための女性のプロジェクトは、今後も広がりを見せるようだ。

 

提供:
ピップ株式会社
https://www.pipjapan.co.jp/

不二ラテックス株式会社
https://www.fujilatex.co.jp/

 

販売名:ウー・マン チェックLH
排卵日予測検査薬 第1類医薬品
販売名:ウー・マン チェックLH
※この検査薬は、薬剤師から説明を受け、「添付文書」をよく読んでお使いください。確定診断は必ず医師にご相談ください。
※この検査薬は、避妊の目的で用いてはいけません。


妊娠検査薬 第2類医薬品
販売名:ウー・マン チェック
※この検査薬は、「添付文書」をよく読んでお使いください。確定診断は必ず医師にご相談ください。

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