ファンを増やすために大切にしたかったのは、
毎年スペインの農家へ足を運び、原料を見て、
商品の魅力をお客様へ伝えていくこと

スペインやニュージーランド産のオリーブオイルや調味料を直輸入し、日本での販売を行うオー・リーブ・ジャパン株式会社。オリーブオイルソムリエの資格を持つ工藤亜由美さんが立ち上げた同社は、2018年2月に創業5周年を迎えます。 工藤さんは、毎年スペインのオリーブ農家を訪れ、その年のオリーブの状態を確かめて日本への輸入を行っているそうです。その中でも、スペイン・グラナダの在来種である「ルシオ種」を原料としたエキストラバージンオリーブオイル「ZAJARI(サハリ)」は、国際オリーブオイルコンテストで銀賞を受賞した看板商品。独特な風味に夢中になる人も多いのだとか。 今回は、「ZAJARI」の開発秘話や、事業に対する思いについて工藤さんにお話を伺いました。


丸くハッピーに生きる。社名に込められた思い

以前は外資系化粧品会社で商品開発の仕事をしていたという工藤さん。彼女がオリーブオイルに出会ったきっかけは何だったのだろうか。

「オリーブオイルとの出会いは、以前勤めていた化粧品会社で、オリーブオイルを使ったスキンケアブランドの立ち上げの企画が上がったことがきっかけなんです。当時、商品開発を担当していた私はスペインに赴いて供給元を探すことになりました。まずはジュニアオリーブオイルソムリエの資格を取得し、現地に赴きました。搾油したてのオリーブオイルを口にした時は『なんて美味しいんだろう!』と感動しましたね。ただ、この時はまだオリーブオイルの事業を始めようなんて全く思っていませんでした。日本に帰国してまもなく、社内体制の変化があり、仕事にやりがいを感じられなくなってきました。会社のためではなく、もっと自分のために仕事をしなければ後悔してしまうと思い、退職を決意。その後、アメリカ人の主人の里帰りに合わせてニューヨークへ行く機会ができたんです。『オー・リーブ・ジャパン』という現在の会社名が思い浮かんだのはこの時でした。」と工藤さん。

オー・リーブという社名には、Oliveの意味の他にも、「O=丸く、ハッピーに、Live=生きる」という工藤さんの思いが込められている。社名が決定し、さっそく会社を立ち上げることにした。

会社設立当初のことを振り返り、笑顔で語る。スペインで出会ったオリーブオイルが、彼女の未来を変えた。

 

「前職で初めてスペインを訪れた時、現地でコーディネターをしてくださった田中富子さんという女性がいます。彼女は現在、スペインの生産者と私の間に入って発注はもちろん、あらゆる面でのサポートをしてくれているんです。国際オリーブオイルコンテストの審査員もしている方で、オリーブオイルの専門家です。良いオリーブオイルを日本の人々に届けたいという強い思いがあり、仕事の枠を超えて信頼できる女性ですし、本当に田中さんと仕事ができて、仲良くさせて頂けて感謝しています」(工藤さん)

「工藤さんと出会った頃は現在の仕事をスタートしてからあまり年月が経っておらず、かなり必死でした。彼女がそんな私を笑顔で自然体で受け止めてくれたおかげで、安心感がありました。あれから大分時間が経ち、お互いに色々なことがありましたが、この間で仕事以外のことでも色々お話しができる間柄になり、本当に感謝しています。」と出会った当時を振り返る田中さん。工藤さんの今のビジネスにきっかけを与えた人物の一人だ。

好きになってくれる人のもとに商品を届けたい

「食品関連の業界にコネクションがなかったので、どうやったら商品を知ってもらえるのか、悩みながらやってきました。事業を始めてから3年間はマルシェに出展して商品を手売りし、新しいファンを増やすために試行錯誤の日々だったんです」(工藤さん)

オー・リーブ・ジャパンの商品は、現在ネット通販のほか、国立市の直営店や谷中や大阪のオリーブオイル専門店などで購入することができる。数多くのオリーブオイルが市場に出ている中、工藤さんは商品を“テイスティング”できることに重きを置いている。

同社の商品を置いている上野桜木の「おしおりーぶ」は、塩とオリーブオイルの専門店。こちらではすべての商品の試飲・試食ができるという。

「店のイメージとして『オリーブオイルの道の駅バージョン』でありたいと思っています。大量生産を行うため添加物を入れたりして、大量消費に対応しようとは考えておりません。オリーブオイルも農産物であるという考え方で収穫年度、品種、地域によって味のバリエーションをお楽しみいただけます。そうした商品に対するモチベーションを共有できる信頼できる仕入先として工藤様とお取り引きさせていただいております」と語るのは、おしおりーぶ上野桜木あたり店の店長である中川潔さん。

 

「たくさんの数を売るよりも、まずは好きになってくれる人に商品を届けたいと思っています。食に興味のある人が集まる場に足を運び、そこから新たな繋がりを作ったりファンを増やしてきました」(工藤さん)

スペインの希少なオリーブから搾油した、ベリー風味のオリーブオイル

アラハンブラ宮殿のタイルをイメージしたデザインは、若い女性たちにも「かわいい!」と好評だった。

 

ルシオ種という希少なオリーブを使用して製造された「ZAJARI(サハリ) エキストラバージンオリーブオイル」は、オー・リーブ・ジャパンの看板商品だ。2017年オリーブジャパン国際オリーブオイルコンテストにおいて銀賞を受賞し、ますます注目が集まっている。

「ZAJARI」について工藤さんはこのように語る。

「ZAJARIは日本で流通しているオリーブオイルとは異なり、熟す前のいちごのような独特な風味のあるオイルなんです。フルーティーでマイルドな味の虜になる方も多く『オリーブオイルはこれじゃなきゃダメ』と言ってくださるお客様もいるほどです。スペインのグラナダに行かなければ手に入らないため、希少性も高い商品と言えます。現在、年間1,000本以上が売れています」(工藤さん)

スペインのオリーブ農園を訪れた工藤さん。青空とオリーブ畑のコントラストが美しい。

 

オリーブオイルを輸入する際、工藤さんはまだ日本で知られていないスペインの在来種にこだわった。世界遺産のアルハンブラ宮殿のまわりでも見かけるルシオ種は、以前は絶滅の危機に瀕していたという。そこで、グラナダの大切な文化の一つとしてルシオ種を保護し育てる活動を始めたのが、工藤さんの取引先の農園だったそうだ。

お客様と一緒にスペインの農園で収穫体験

農園の方に教わりながら、オリーブの収穫を体験する。専用の機械を使用して行う。

 

工藤さんはお客様と一緒にスペインのオリーブ農園を訪れるツアーも開催している。2017年の秋にも、ZAJARIの原料となる「ルシオ種」オリーブが収穫される農園を訪れ、新油の試飲やオリーブの収穫体験を行った。

「お客様の中には『ずっと行ってみたかったから嬉しい』と、このツアーを以前から楽しみにしていてくださった方もいます。今年のツアーは特に、オリーブ体験以外にも、アラハンブラ宮殿を案内してもらったり、市長さんの歓迎を受けたりと充実した日々を過ごしました」(工藤さん)

小笠原さんは、創業当初からのお客様の一人。2017年のオリーブ体験にも参加した。「ツアー中は、宿の手配から、当日のお食事、乗り物手配等々、亜由美さんが全てやって下さり、色々とハプニングはありましたが、安心して皆で楽しい時間を過ごす事が出来ました」とツアーの感想を語る。

オリーブオイルを介して、新たな繋がりを広げる

国立市の住宅街の一角にある直営店。すべての商品を試飲・試食することができる。

 

「私はオリーブオイルの専門店をやりたいわけではないんです。オリーブオイルを、より楽しんでいただけるようにオリーブオイルに合う調味料や食品も取り扱っています。そして何よりも、物を通して人と繋がる体験を今後も大切にしたいと思っています。例えば今度、パンを作っている方のところへ弊社のオリーブオイルを持って行こうと思うんです。原料として使ってもらい、実際に味わってもらう。そんな面白い出会いも今後増やしていきたいですね。オリーブオイルがあれば、今まで行けなかった場所にも行けるし、出会えなかった人にも出会えますから」と事業への思いを語る工藤さん。

最後に、今後の課題について伺った。

「今後はマーケティングに力を入れていきたいと思っています。レモングラス風味のオリーブオイルなど、ちょっと変わった商品も取り扱っているので、それに特化したPRを考えていきたいですね。BtoCだけでなく、BtoBの展開も広げていきたいです」(工藤さん)

 

ビジネスという枠を超え、周囲の人々にオリーブの魅力を伝えたい、楽しんでもらいたいという工藤さんの思いが、根強いファンを生み出しているのではないだろうか。今後、新たな分野とのコラボレーションにも期待が高まる。

 

提供:オー・リーブ・ジャパン株式会社 https://www.olvjapan.jp/

 

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